fiend 第一章 前編

それは例えば朝のあいさつが「おはよう」みたいに。

気付けば知っていて、それが普通で、いつ覚えたかなんて言えないくらいの常識。

この世界で行われているゲームを。

私は知っていた。

第一章  世界の仕組み

窓を開けると少し冷たい風が肌にあたって気持ちいい。

今日から始まる新しい日に胸が高鳴る。

隣の家の幼馴染を呼ぶべく携帯を開き、幼馴染に電話をかける。

「…あー、もしもし。」

しばらくたつと眠そうな声をしたちょっと低めの女声がきこえてきた。

「もしもし。静鬼だよっ。」

「うん、そりゃわかるよ。」

なんといえばいいのかわからないわくわくを伝えるべく「えっとー」とか「あのさー」とかいっていると、

「うん、要するに今日からゲーム始まるから楽しみだねとでもいいたいんだろ。」

簡単にいってくれたものだ。

「だってだって今日から本番なんだよ!?ゲームスタートだよ!?どっきどきだよね姫鬼ちゃん。」

私、水流静鬼とその幼馴染、炎華姫鬼は今日からとあるゲームに参加いたします。

それは私達にとっては楽しい楽しいゲームです。

彼女達はとあるゲームの参加者である。

それは世界をかけたゲーム。

世界を憎んだある人間と

戦うことが大好きなある人間が

どちらかを全滅させることで勝敗を決めるデスゲーム。

名前に「鬼」の字を宿すものは古来から戦うことが好きだったといわれている。

世界を守るために必要なのはどこかの少年漫画のような熱い正義感か?

否、世界を守るために必要なのは戦うことを楽しみ、かつ強さをもった人間である。

だから彼女達は選ばれた。

狡猾で残虐で最悪なほどに戦いが大好きな彼女達が。

「あー楽しみだなぁ…姫鬼ちゃんもそうでしょ?」

今すぐ鼻歌でも歌いそうな勢いのご機嫌な主人公は幼馴染に問いかける。

「まあな。楽しみじゃないわけねぇだろ。」

「じゃあ私ご飯食べてくるからあとでねー」

「おうよ」

ゲーム期間は参加者が中学生になってから20歳になるまでの間である。

その期間の中でできなければ次の参加者が選ばれるのであろう。

しかし彼女達は知らないのだ。

このゲームの主催者を。

一方

「…今日からね。」

「そうだな姉ちゃん。」

静かな家の中に響く話し声。

「こんな世界に」

「「終止符を」」