fiend 第三章 前半

「ちょっまってってばー!」
水色の長い髪を揺らしながら、その少女は走ってきた。

「はやくしろってー」
少女のことはお構いなしにちょっと伸びた赤髪を後ろで二つに結ったツインテールの少女は言った。


「よろしくお願いします」と呟いて、校門に頭を下げる少女がいた。

fiend 第三章 前半

「ひめきぃぃぃいぃいぃうわぁぁっぁぁぁどうしようどうしよう!?どうする!?」
「…なにが」
クラスの組み分け表の前で静鬼は焦っていた。
「なにがってなにがもなにもクラス!別れちゃったよ!うわっぁぁあ姫鬼とわかれたぁぁっぁあ…ってるーくんもそっちのクラス!?私ひーとーりぃー!」
女子だなぁ…と心の中で呟きながら呆れた顔で相棒を見やる。
とはいったものの、色々面倒になることは真実なわけだが…。
そっちの意味で相談や作戦会議はいつもよりは多く出来ないだろう。
ま、なんとかなるか。
「だーいじょぶだって。別に対したことねえだろ。」
「いや、これは大問題だぞ姫鬼。」
深刻そうな顔をした瑠鬼が突然介入してくる。
「うわっ!るっるーくんいつからそこに!?」
「ひめきぃぃぃいい(裏声)あたりからだ。」
「最初からじゃねえか!で、なに深刻な顔してんだよ。」
「…いっても怒らないか?」
なにをもったいぶっているんだか…。
「怒らない怒らない。だから早く言え。」
イライラしたから笑顔の催促をする。
「うう…その…なんだ…」
「るーくん、いってごらん?」
戸惑う瑠鬼に優しく促す静鬼。
女子力…。
「静鬼が同じクラスじゃないんなら俺の生傷が耐えないに決まってるこれは非常事態だぁっぁぁぁっぁぁぁっぁぁ!」
その叫びを悲鳴に変えるために手が動く。
「どういう意味だ?どういう意味だ?え?お前それどういう意味?」
瑠鬼の腕を曲がらぬ方向へ思いっきり曲げていく私。
てめぇまじぶっ殺す。
「いててててててて痛い痛い!ギブ!ギブ!うぎゃあああああ」
「ちょっ姫鬼ちゃんそこらへんにしときなってー」
「こういうことだ」
キリッとした顔でなぁにぃがぁ
「こういうことだ、だざけんなくそがぁぁっぁぁっぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

私達は今日も平和な日々を過ごしております。

「楽しい…か。楽しいなんて…別にいらないんだけどね…。」
一人教室で呟く。
顔を哀しさと苦しみで歪めながら。


「あっても余計なのよね…別に。」
小さな声でぽつりぽつりと空っぽの教室に言葉を落とす。
一人だけの
独りだけの空間を。


何かが破った

ガラッ

ドアを開ける音にとっさに振り返る。
そこにいたのは緑の髪をした短髪の、小柄な女の子だった。
おそらく自分と同じ1年生なのだろう。
眼鏡をかけていて…無駄に巨乳であった。

「あ…えっと…もう、下校時間ですよね?帰らないんですか?」
ちょっと焦ったように言葉を紡ぐ緑の少女に少し笑いがこみ上げる。
私が黙ったままのなので次の言葉に戸惑う様はみていてとても面白かった。

「あ…その……あのー?」
冷や汗をかいてそうな顔で必死に呼びかけてくる。

「っく…ふふっ…あははっははは!」
堪えきれずに笑ってしまう。
案の定唐突に笑いだした私に驚いた様子の緑の少女は困った表情を浮かべている。

「ふふ…ははっ…ああ、ふふふ…ごめんなさいね。あんまり必死だったもので…あはは。」
久しぶりに笑ったかもしれない。
そしてなお困った表情がツボを押す。
「ちょっと忘れ物をしたものでね。今探してたの。でももう見つかったから帰らせてもらうわ。そういうあなたは?」
余裕の笑みを浮かべながら問いを与える。

「ああ、そうだったんですか。私も少し忘れ物をしたもので、取りに戻ったわけですが教室にまだ人がいたので、びっくりしていた所です。えっと、1年生ですよね?」
思ったよりしっかりした子で意外だ…。

「ええ、草加高等学校1年、闇風空華よ。あなたは?」
礼儀として名乗り、相手の名前もついでに聞いておく。
少し戸惑ったような顔を浮かべてから、少女は…いや、彼女はこう言った。


「植谷まき。同じく草加高等学校1年生です。よろしくお願いしますね。闇風さん。」
まき…静鬼といい瑠鬼といい姫鬼といい…名前に鬼がつくものは高確率で◯鬼というものだったため私の中で警戒心が蠢く。

「へえ…まきって、漢字でどうかくの?」
ここにきて敵が増えるなんてごめんよ。
面倒ったらありゃあしないわ…。
さりげなく、気づかれることなく質問する。

「真実の真に、希望の希で真希です。」
にこやかに答える。
恐らく大丈夫…でも普通の人というには何かが違う黒さが垣間見える…。

「それじゃあ私はこれで。」
去るべきだろう。

ベストだ…。

「あ」








「制服にゴミ、ついてますよ」

「生徒会副会長?」
皆様こんにちはこんばんはおはようございます水流静鬼です。
ただいまクラスごとの委員会役員と生徒会立候補者を決めております。
なぜか多数決で私選ばれました。
笑えません。

ええ、本当。

「私が…ですか?」
「水流さんしっかりしてるし…似合ってるかなぁって///」
なぜ頬を赤らめた出席番号13番丁度真後ろの席の瀬田さん。
「俺も水流さんにあってると思うよー」
なぜチャラそうな男子に押し付けられた感満載で立候補しなければならないのだかわからない。
「水流さん…お願いしていいかしら?」
いや、でも学校の上に立つのは悪くない。
色々いいかもしれない。



まあ、色々悩んだ挙句

「私でよければ。」
にこって効果音がお似合いの笑顔を作って見せた。

「姫鬼ちゃんは何に入ったの?」
放課後、二人で歩きながら5時間目に行った委員会役員の話に持っていってみる。
「ああ、生活指導。」
「生活指導?」
生活指導…ってなんだっけ。
え、指導?するの?
「生活指導ってんのは、要するに生徒の指導をするわけだよ。」
「そりゃわかるけど、でもなんでそれ?」
「ガラの悪い連中には実力行使ってのがあってな、『炎華さんとっても強いし運動もできるし炎華さんいいんじゃないかなっ!』とかほざく奴らに押し付けられた。」
うわーデジャヴを感じるわ。
「で、そういう静鬼は?」
「あー…色々あって生徒会副会長に立候補することになりました…。」
思い出すと病むわこれ。
「へーまたなんで。」
「まあ姫鬼ちゃんとおんなじような感じだよー押し付けられたも同然かなぁ。」
ため息をつきながら説明を省く。
「あーなんかわかるかも。まあ頑張れよ。」
笑いを堪えているのがびっしびっし伝わって心が痛いよ姫鬼ちゃん…。
「はぁーい…。」

Q瑠鬼くんは何に入ったんですか
A生活委員。
Q理由は?
A弱っている女子を保健室に運びつつ胸を堪能できるから。



fiend 第三章 前半 終

さて、とうとうかきたくてたまらなかった真希ちゃんが小説で少しながら出せたことに若干の感動を抱かざるを得ない私ですが、更新とてつもなく遅くなってすみません。
稚拙な文で文才の欠片もございませんが、次回もぜひみていただければ幸いです。
それでは(◎´▽`)ノシ